漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
チマチマと書いていた「砂漠の使途の幹部にサソリーナが仲間入りする話」が完成したので投稿します。ピクシブも同時更新です。もうちょっとSSがたまったら多分独立コーナーを作ると思うのですが、とりあえずはブログで。めたくそ長くなったので、前編・後編・解説に三分割しております。
タイトルで悩みに悩み、SSの内容が分かりやすいのでハトプリ本編のつぼみの口調風にしてみました。
タイトルで悩みに悩み、SSの内容が分かりやすいのでハトプリ本編のつぼみの口調風にしてみました。
10月23日 午後4時35分
傾きかけた太陽が町をオレンジ色に染める。地平線のあるべき場所に目を向ければ、無機質な鉄塔が幾つも並ぶ向こうに太陽が見えた。
深い海を思わせる青い目にオレンジ色の光を映して、青白い髪を背中に流した優男…コブラージャは唇を開いた。
「沈み行く太陽…美しいねぇ。なのに残念だ、無機質な建物や鉄塔がその美しさを台無しにしている」
「ならばこの世界を砂漠にしてやればいいぜよ」
沈む夕陽を眺めるコブラージャの隣、常人なら足が竦むような高い高い鉄塔に胡坐をかいて座っている赤毛の男が答えた。
帯刀した細身剣を夕陽に向かって突きつけてクモジャキーは続ける。
「何もかもを砂の下に葬ってしまえば、見えるのはもう地平線と空と太陽と月と星だけじゃき」
「フフ…美しい、実に美しいね。全てが枯れ果てた世界…最高じゃないか。その最高に美しい世界を一日でも早く見たいものだねぇ。…そのためにも」
コブラージャは青い目を眇めて唇を赤い舌でぺろりと舐めた。淡く笑んだ唇の隙間から、蛇の毒牙を思わせる歯がちらりとのぞく。
「新しい仲間を迎えに行かなくちゃね」
10月14日 午前11時00分
砂漠の王デューンが支配する世界を作るため、地球を砂漠化するために暗躍する組織――砂漠の使徒。
地球支部の総司令官サバークは、幹部のクモジャキーとコブラージャを呼び出して厳かに言った。
「我ら砂漠の使徒の目的は人々の心の花と心の大樹を枯らしこの地球を荒れ果てた砂漠にすること。だが、砂漠の使徒の活動が本格化するのと時を同じくして誕生したキュアムーンライトの抵抗が予想外に激しく計画は難航している。これ以上計画に遅れを出してはデューン様の不興を買いかねない」
「…………」
「申し開きの言葉もございません」
「私はお前達を責めているのではない、コブラージャ。心の花を枯らす任務とキュアムーンライトの迎撃、その両方を幹部二人だけでこなすには無理があるのは理解している。ダークプリキュアを実戦投入するにもあと少し時間が必要だ。…そこで、だ」
サバークは一度言葉を切って手を組み替えた。
「お前達に続く三人目の幹部を加える事に関してデューン様のお許しを頂いた」
「ちょっと待つぜよ、サバーク博士!」
不満げな顔で話を聞いていたクモジャキーが我慢できなくなった様子で口を開いた。
赤く光る仮面の目を睨みつけながら彼は一歩前に出た。
「デューン様も博士も俺をみくびっとるぜよ!キュアムーンライトなんぞ、このクモジャキーが本気を出せばひとひねりじゃき!新たな幹部など不要!」
「『本気を出せばひとひねり』…その台詞は聞き飽きたよ、クモジャキー。君はいつになったら本気を出すのかな」
「今までは本気を出すチャンスが無かっただけぜよ!大体あの小娘、人間の心の花を奪ってからでないと姿を見せんと来ている。いつもいつも心の花を枯らす任務と同時進行だから、俺はあいつとの戦いに専念出来んのじゃき!」
「だったら余計に新たな仲間は必要じゃないか。君が二つの任務を同時にこなさなくちゃいけない原因は、ぶっちゃけ組織の人手不足にあるんだから」
「……?」
「新たに加わった幹部には心の花を枯らす任務に専念してもらう。そうすればクモジャキー、お前はキュアムーンライトの対応に専念できるだろう」
「おお、なるほど。つまり役割分担をしようということじゃな。なら俺も新たな仲間を加える事に異存は無いぜよ」
「では行け、クモジャキー、コブラージャ。新たな幹部となるべき人間を探すのだ!」
「「ハッ!」」
…幹部が姿を消した城の中で、サバークは葛藤と躊躇いが交じり合った溜息をついた。
駅ビルの屋上に姿を現したクモジャキーとコブラージャは眼下を忙しく行き来する人間を見下ろした。
サバークは『新たな幹部となる人間を探せ』と命じただけで具体的な指示は出さなかった。故に、どの人間を選ぶかは二人に一任された形になっている。
「新たな仲間…ここはやはり、俺と拳で語り合うような熱いハートを持った漢を選ぶべきぜよ!」
「熱血馬鹿は君だけで十分だよクモジャキー。そもそも君と同じバトル好きの幹部が増えたところで、キュアムーンライトの相手をどちらがするかで揉めるだけだろう」
「む…。ならお前はどんな奴がいいと思うんじゃ?」
「勿論、美しい僕の眼鏡に叶う美しい奴だよ。そうだねぇ…これ以上男が増えてもむさくるしいだけだし、役割分担のことも考えると女の子がいいんじゃないかな。場も華やかになるしね。仕事熱心だともっといい」
「女?」
クモジャキーは腕を組んで考え込んだ。
仲間とは熱い拳で語り合ってこそ絆が深まる、と言うのが彼の持論だ。故に優男のコブラージャとも初対面で殴り合い(と言うかクモジャキーが一方的に殴りかかったのだが)、顔に傷を付けられてマジ切れした彼と『熱く拳で語り合った』結果、言葉には出さないがコブラージャの強さを認めるに至っている。しかし女性相手では拳で語り合うのは少々やりづらい。ただ、コブラージャの言うとおり、キュアムーンライトの迎撃ではなく心の花を枯らす任務に専念させるなら『女に荒事は似合わない』という口実が使えるので女性の方がいいとも言える。ダークプリキュアも小娘らしいし、幹部に女性がいた方が何かと都合がいいだろう。
数秒で結論を出したクモジャキーは浅く顎を引いた。
「まぁいい。拳で熱く語り合う意思と根性がある女で妥協してやるぜよ」
「君の根性論に理解があって、僕の眼鏡に叶う最低限の美しさを持っていて、かつ心の花が萎れている女性となると…かなり候補は絞られてくるね」
「中途半端な萎れ具合の奴を狙ったところで、心の花を完全に枯らす前にキュアムーンライトに邪魔されたら骨折り損ぜよ。心の花が完全に枯れている奴を狙ったほうが手っ取り早いのではないか?」
「そうは言っても心の花が完全に枯れている人間なんてなかなかいないだろう。心の花が萎れている人間の中から何人か候補を見つけて、キュアムーンライトに邪魔されずに上手く心の花を枯らすことができた奴を幹部にするのが現実的だと思うね」
「下手な鉄砲数撃ちゃ当る、か」
「身も蓋もないねぇ」
コブラージャは淡く苦笑して懐から取り出したオペラグラスを覗き込んだ。彼に倣ってクモジャキーも通行人に目を凝らし始めた。
「銀行の前にいるあの女性はどうかな。なかなか美しいと思わないかい?」
「あれはダメじゃ。チャラチャラした服など着おって軟弱にも限度があるぜよ!それよりあっちのコンビニの前にいる女は見所がありそうじゃき!」
「ノンノン!彼女はダメだ、全く美しくない」
「お前の基準は意味不明な上に厳しすぎぜよ!妥協と言う言葉を知らんのか!」
「それはこっちの台詞だよっ!せっかく女の子を仲間に入れるなら可愛い子を選びたまえ!」
「重要なのは見た目じゃなく中身ぜよ!」
二人は火花が散るほど睨みあい、ケッ!とそっぽを向き合い、互いに背を向けて幹部候補を物色することしばし。
駅から程近い公園を見ていたコブラージャがオペラグラスを真剣な顔で覗き込んだ。
「…クモジャキー。あそこの、公園のベンチでランチ中の女性はどうかな」
「公園のベンチでランチ?そんな軟弱者は見る価値もないぜよ」
「なら、公園のベンチで小鳥にガンを飛ばしつつ牛乳を飲みながらサンドイッチを貪り食っている女性と言い換えよう」
「…………」
コブラージャの言葉に興味を引かれたクモジャキーが彼の隣に来た。
ほらあそこ、と白い指が指し示す先を見ると、本当に『公園のベンチで小鳥にガンを飛ばしつつ牛乳を飲みながらサンドイッチを貪り食っている女性』が見えた。長い赤毛をポニーテールにして、結構な美人なのに化粧らしい化粧もしておらず、身に着けているのはかっちりした印象のパンツスーツだ。あっという間に食事を終えた女性は、ベンチに置いてあったビジネスバッグを肩から提げると、物凄い乱暴にゴミをゴミ箱に放り込み、小鳥を蹴散らす勢いで大股に歩いていく。
「ほう…なかなか根性のありそうな面構えの女じゃな」
「スレンダーな体つきも、褐色の肌と赤毛のカラーリングも美しいじゃないか。それに、心の花もいい感じに萎れている。僕は彼女が気に入ったよ」
「なら、あの女が幹部候補の一人目じゃな」
「もうしばらく幹部候補を探してみて、これは!と思う人材が見つからなかったら、僕は彼女の確保に専念するよ。心の花が完全に枯れると同時に奪い取ればさすがのムーンライトも邪魔は出来ないだろう」
狂気の光を孕む青く透き通った瞳を眇めて、コブラージャは薄く笑った。
10月17日 午後12時15分
駅から程近い公園のベンチで、長い赤毛をポニーテールにした若い女性が鬼気迫る表情で菓子パンを齧っていた。彼女の発する殺気に恐れを為しているのか、彼女が座っているベンチの周囲には人影どころか小鳥の姿もない。パックを握りつぶす勢いで牛乳を飲み切った女はパンの袋と空になった牛乳パックをゴミ箱に叩き込んだ。
…彼女の名前は斉藤リナ。業界では知らぬ者のいない大企業『レッドフローリアン』営業部所属の『優秀な』社員だった。
傍らに置いたバッグの中で携帯が鳴り出して、彼女は慌ててバッグを空けて携帯を取り出した。
「はい、斉藤です!…はい、はい…。…………。そうですか…残念です…ええ、では、またのご縁があれば…はい、失礼します」
はぁ…。
電話を終えた彼女は盛大な溜息をついた。
「ああ、もう!いいところまで行ったのにまーた『今回は契約を見送らせて頂きます』よ!どうしてダメなのよぉん!ムカつくわぁん!」
独り言にしては大きな声で愚痴ったリナは、近くの花壇に植わっていた花を何本か引き抜いて地面に叩きつけ苛々と立ち上がった。
地面に喧嘩を売るような乱暴な足取りで歩き始めた時。
「失礼、マドモアゼル。落し物ですよ」
背中から妙に気取った声が聞こえて彼女は足を止めた。
周囲を見回したが近くに人影はない。
私に声を掛けたのかしら?でも、落し物なんてしてないはずだけど。
そんなことを考えていると、その考えを見透かしたような言葉が続いた。
「あなたですよ、スーツの素敵なお姉さん」
「…私?」
振り向いたリナは目を見開いた。
思わず見とれるほどの長身イケメンが立っていた。緩く波打つ青白い髪はしなやかに美しく、その髪の間から見える青い目もこれまた美しい。日本人とは思えないほど肌が白く、紺のシャツとスキニーパンツと言うシンプルなファッションも細身の彼に良く似合っている。
「あらぁっ、超イケメン!…じゃなくってぇ…え、えっと、私、何か落としました?」
「ええ、これを」
男は魅力的な笑みを浮かべながら、先程リナが引きちぎって捨てた花を差し出した。
「あっ…。…………」
「これを落としたのはあなたですよね?」
青白い髪の男は片手を胸に当てて恭しく花を差し出してきた。
先程の自分の行動が急に恥ずかしく思えてきて、リナは顔を赤くしながら花を受け取ろうと手を伸ばした。
「え、ええ、そうです。わざわざ拾ってくださって、ありがとうございます」
「いえいえ」
男は片手をリナの手に添えて丁寧に花を彼女の手に乗せた。
爪の先まで完璧に整った美しい手に見惚れていると、彼はリナの掌に花を乗せてそっと握らせた。
「では、僕はこれで。落し物には気をつけてくださいね?」
「は、はい」
ポーッとなって男の後ろ姿を眺めていたリナは、いけないいけないと首を振りながら慌てて公園を出て行った。
…………
…少し離れていたところで待っていたクモジャキーは、予想より早く戻ってきたコブラージャに青いダンダラ模様の上着を差し出しながら不思議そうな顔になった。
「何じゃ、ターゲットに接触する言うとった割にあっという間に終わったな。うまくいかなかったんか?」
「今回は挨拶をしただけ。掴みは上々だ…次に接触した時に情報を引き出して、その次でチェックメイトと行きたいね」
上着を羽織ったコブラージャは優雅な仕草で長い髪を背に払った。
10月20日 午前11時55分
駅ビルの屋上にクモジャキーとコブラージャが姿を見せた。
コブラージャは花束を抱えたまま器用に手鏡を取り出してにらめっこを始め、クモジャキーはそんな同僚の姿に盛大に溜息をついて視線を駅前の公園に向けた。
気に入ったものを手に入れるためなら手間を厭わないコブラージャがリサーチを続けた結果、先日二人が目をつけた女性は、ほぼ毎日決まった時間にあの公園のベンチで昼食を取ることが分かったらしい。
「で?一体どうやって情報を聞き出すつもりぜよ?」
「どうやってって…普通にお茶に誘ってお喋りして、だよ」
「ハァ?何ぜよ、そのイイカゲンな作戦は!茶に誘って断られたらどうするんじゃ!?」
「断るわけないだろう、この僕が誘ってるのに。…まぁ、僕の誘いを断るような、美しいものを見る目のない女だったらこっちから願い下げだけどね」
「お前な…」
コブラージャは大真面目に言っている。
クモジャキーはズキズキと痛み始めた頭を押さえて我慢強く説明を重ねた。
「一度ちょっと話をしただけの男が、行く先で待ち伏せしてて、花束渡して茶に誘ってくるって、普通に考えて有りえんぜよ!けったいな勧誘だと思われて拒否されたらどうするんじゃ?と俺は聞いているんじゃき!」
「『一度ちょっと話をした時からあなたが気になっていたので、またお会いできたら嬉しいなと思ってここに来てみたらあなたがいたから、運命的なものを感じて声を掛けたんです』と言えば問題ないよ。君も女性の立場になって考えてみたまえ。こぉんな美しい男がお茶に誘ってきたんだよ?ホテルのディナーならともかく昼休みのお茶だよ?けったいな勧誘話をされても、『仕事の時間があるので戻らないと』って口実で逃げられるから付き合ってもいいかなー、って考えないのかい?」
「ん?ん?…」
「…ああ、噂をすればだ。ターゲットのお出ましだよ」
コブラージャの視線を追うと、見覚えのある赤毛の女の姿が公園にやってくるのが見えた。心の花を見るまでもなく、その姿は先日よりずっとしょんぼりしている。
淡く笑ってコブラージャは立ち上がり、もう一度手鏡で髪型をチェックし、上着を脱いでクモジャキーに差し出した。
「いい感じにしょんぼりしてるねぇ。じゃあ行って来るよ。万が一キュアムーンライトが邪魔しに来たら対処よろしく」
「ああ」
なんだか釈然としないままクモジャキーは差し出された上着を預かった。
…確かにコブラージャは美形だが、そうそう上手く行くとは思えんが。
そんなことを考えながら公園を眺めていたクモジャキーは、赤毛の女性に花束を渡して二言三言会話したコブラージャが彼女を同伴して公園を出て行くのを見て、訳の分からない敗北感を味わう羽目になった。
「ふわぁぁ~~…」
駅ビルの屋上の柵に片膝を立てて座っていたクモジャキーが大あくびをした。
コブラージャが赤毛の女をお茶に誘ってそれなりに時間が経つが、まだ戻ってこないしキュアムーンライトも現れないし退屈で退屈で仕方がない。心の花が萎れた人間は時たま通りかかるが、いつ何があるか分からないので迂闊に心の花を奪い取りに行くわけにもいかない。
「ああ~退屈ぜよ…」
思わず言葉が漏れた時、隣に青い影が現れた。
吹き抜ける風に緩く波打つ長い髪をなびかせて、甘く整った顔の優男が気取った仕草で柵の上に立った。
「お待たせ、クモジャキー」
「おう、くたびれるほど待ったぜよ。…その様子だと首尾は上々のようじゃな」
「まぁね。必要な情報は概ね聞き出せたよ。彼女、大手企業の有能な営業ウーマンだったんだけど、その優秀な成績を鼻にかけて天狗になってるうちに同僚から見放されて孤立、優秀だった成績もあっという間に暴落、今は優秀な後輩に嫉妬しつつ左遷の恐怖と戦う日々なんだってさ。一応確認したけど、心の花は以前見た時よりずっと萎れていたよ」
「よくそこまで聞き出せたな」
「『誰かに悩みを聞いて欲しい』って顔をしてたからねぇ。ちょっと水を向けたらすんなり喋ってくれたよ。三日後に自分の進退をかけた大きな打ち合わせがあるってことも…ね」
「ほう…」
「ねぇクモジャキー。その打ち合わせが大失敗しちゃったらさぁ、その瞬間に彼女の心の花は枯れると思わないかい?」
「お前、本当にいい性格しちょるのう。その様子だと打ち合わせを大失敗させる計画も用意済みと言うところか」
「勿論」
コブラージャが喉の奥で笑った。眇められた美しい青い目は狂気の色を孕んで光っている。
毒蛇の名を持つ男は楽しくてたまらないと言いたげに両手を広げた。
「『君の仕事がうまくいくおまじないをかけてあげるから、商談に行く前にあの公園で待ち合わせしない?』って言ったら、彼女は喜んで承諾してくれたよ」
「…なるほど。待ち合わせ場所に来たところを取っ掴まえて、商談の時間が過ぎるまでどこかに閉じ込めておこうというわけじゃな」
「取っ掴まえるとか閉じ込めるとか、人聞きの悪い事を言わないでくれたまえ。女性を相手にそんな手荒なことをしなくても、もっと美しい手段が僕達にはあるじゃないか」
「心の花を奪うのか?しかし、デザトリアンにしたところでキュアムーンライトに浄化されたら元の木阿弥ぜよ」
「いつ、誰が彼女をデザトリアンにすると言った?」
「?」
「僕と君で色んな人間の心の花を奪ってデザトリアンにしたら、流石のキュアムーンライトも心の花を奪われた『だけ』の人間には気付かないんじゃないかなぁ?」
「…………」
「キュアムーンライトが次々現れるデザトリアンに気を取られている間に、僕が奪っておいた彼女の心の花を元に戻す。目が覚めた時に商談の時間がとっくに過ぎていることを知った彼女はその瞬間に絶望して心の花を枯らす。そこで改めて心の花を奪い取れば…フフ、ミッションコンプリート!と言うわけさぁ。ああ、何て完璧で美しい作戦!自分の才能が、怖ぁい!」
「コブラージャ、お前…」
頬を染めて悦に入るコブラージャの姿にクモジャキーは心底呆れた溜息をついた。
「まっこと、馬鹿か天才か分からん奴ぜよ」
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