忍者ブログ
漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
| Admin | Res |
<< 03  2025/04  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30    05 >>
[748]  [747]  [746]  [745]  [744]  [743]  [742]  [741]  [740]  [739]  [738
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ハトプリSSで煮詰まっているので、「3000字以内でショートショート」という緩い縛りで小ネタSSを書いてみることにしました。ある程度たまったらまとめてサイトとピクシブで公開するつもりです。
一本目は、「人間に戻って記憶も取り戻した三幹部の日常」です。


拍手[2回]




「毒蛇と蜘蛛と蠍と朝食」

 ゴン、ゴンゴン!
 部屋の扉を叩く音に、コブラージャは盛大に溜息をついて立ち上がった。
 …訪問前にアポを取るようになっただけ以前より進歩はしている、インターフォンがあるのにドアを叩く程度は大目に見なくてはね。
 そんなことを考えながら玄関に向かってドアを開けた彼は目を瞬いた。
 リュックを背負い両手に荷物を持ったクモジャキーの後ろにサソリーナがいる。クモジャキーの訪問はともかく、サソリーナの訪問は聞いていない。

「グッドモーニングぜよ、コブラージャ!」
「おはよぉん」
「サソリーナ?どうして君が?」
「朝ごはん用のパンを買い忘れたことに今朝になって気がついてねぇん。近所のコンビニに買いに行ったらクモジャキーとバッタリ会って、『朝飯ならコブラージャの家で一緒に食えばいいぜよ!』って強制連行されて来たのよぉん。急に押しかけたら迷惑でしょ、って私は言ったんだけど…」
「何を言っとるんじゃサソリーナ。仲間が飯を食いに来ることのどこが迷惑なんじゃ!」
「…どうぞ、入って」

 色々な諸々を一瞬で諦めたコブラージャはドアを開けて二人を中に入れた。
 部屋に上がりこんだクモジャキーは玄関に荷物を置いて勝手知ったる様子でシャワーを浴びる為に風呂場に入って行き(汗をかいたまま部屋に入るとコブラージャにマジ切れされるからだ)、コブラージャのお宅訪問は初めてのサソリーナは遠慮がちに足を踏み入れた。

「悪いわねぇん、いきなり押しかけて」
「別に構わないよ、君に見られて困るようなものも無いしね。どうぞ、座って待っててくれたまえ」

 居間に通されたサソリーナはおずおずと座布団に座ってぐるりと部屋を見回した。
 畳敷きの和室、ちゃぶ台、和風のカバーがかかった座布団、そして障子と、部屋は和のテイストで統一されている。開けっ放しの襖の向こうには布団が畳んで置いてあった。さしあたってすることが無いサソリーナは、台所で食事の用意をしているコブラージャに声を掛けた。

「何か意外ねぇん。日仏ハーフでファッションデザイナーのアンタのことだから、ソファとテーブルとひらひらのカーテンと天蓋付ベッドの部屋で暮らしてるとばかり思ってたのに」
「あはは。クモジャキーにも言われたよ、それ」
「クモジャキーと言えば…何でアイツ、当たり前みたいな顔してアンタの家に朝ごはん食べに来てるのぉん?すっかり常習って感じだったけど」
「最初のきっかけは、水筒も財布も忘れて早朝ジョギングをしてたクモジャキーが『水を飲ませてくれ』って僕を訪ねてきたことだったんだよね。その時に軽い気持ちで『ついでに朝ごはんも食べていくかい?』って聞いてしまったのが僕の運のつきって訳」
「抗議、しないわけ?」
「したよ。『僕の家はモーニングを出す喫茶店じゃないんだけど』ってね」
「そんな言い方じゃ脳筋クモジャキーには通じないでしょぉん」
「ご明察。『分かっちょるぜよ。喫茶店だったら好きなメニューを選べるからな!』って返されたよ」
「分かってないじゃない…。そもそも喫茶店はお金を払うけど、アイツはお金なんて払ってないでしょぉん?」
「仲間の家で飯を食うのに金を払うなど水臭いぜよ!コブラージャと飯を食いに行った時に俺が奢ることでチャラにしとるきに、それでええんじゃ!」

 両手に荷物を持って下着一枚で部屋に入ってきたクモジャキーの姿にサソリーナがギョッとなった。

「ちょっとクモジャキー!女の私がいるんだから、パンツ一枚で出てくるのはやめてよねぇん!!」
「はぁ?砂漠の使徒だった頃は何の疑問も感じずに一緒の風呂にも入っとったのに、今更何を気にすることがあるんじゃ。…おいコブラージャ。俺の実家から米と野菜を大量に送って来たきに、お前にも分けてやるぜよ」
「それは感謝するけど、服くらい着てから入ってきてくれたまえ。むさくるしい君の姿なんて朝から見たいものじゃないからね」
「全く、相変わらず細かいところにうるさい奴じゃのう。まぁええ、米と野菜はここに置いておくぜよ」

 荷物を台所の隅に置いてクモジャキーは風呂場に戻っていった。
 その後ろ姿を一瞥して浅く嘆息し、コブラージャは用意した朝食をちゃぶ台に並べ始めた。白いご飯、味噌汁、焼鮭、小鉢という定番の『ニッポンの朝ごはん』である。目をパチパチしているサソリーナを見てコブラージャは淡く笑った。

「意外なメニューかい?」
「そうねぇん…典型的なホテルの朝食がアンタのイメージだったけど、でも、この部屋でクロワッサンとカフェオレとハムエッグ出されても不思議な気がするわねぇん」
「パンなんぞ軟弱軟弱!日本男子の朝は白飯と味噌汁と決まっちょる!」

 服を着て戻ってきたクモジャキーがどっかりと座布団に胡坐をかいて座った。
 サソリーナはなんとも微妙な顔でコブラージャに視線を向けた。

「え、ひょっとしてクモジャキーのリクエストに合わせてご飯なの?」
「まさか。僕は元々ご飯党だよ。さ、冷めないうちにどうぞ。口に合うかどうかは分からないけど」
「ありがと。いただきまーす」
「頂きます!」
「頂きます」

 三人はきちんと手を合わせてから食事を始めた。
 味噌汁を一口食べたサソリーナは目を丸くした。予想以上に美味い。

「何だか認めるのが悔しい気がするけど、美味しいわぁん。クモジャキーが朝ごはん食べに来るのもこれなら納得ねぇん」
「一人で飯を食うより二人で食う方が美味いからな。三人で食えばもっと美味いぜよ!」
「あのさクモジャキー。今後サソリーナを誘って朝ごはんを食べに来る時は、ちゃんと事前に連絡をしてくれたまえ」
「あらぁん。『僕の家はモーニングを出す喫茶店じゃないんだよ』とは言わないのねぇん?」
「君の訪問を断る理由は特にないからね。…クモジャキーの言うことに異論も無いし」

 コブラージャの台詞の後半は独り言のように小さな声で、クモジャキーにもサソリーナにも聞こえていなかった。
 ご飯のお代わりを要求しようとコブラージャに視線を向けたクモジャキーは、コブラージャの唇が柔らかく綻んでいるのを見て怪訝そうな顔をした。

「やけに嬉しそうじゃの。何ぞ良いことでもあったんか」
「…秘密」
「何じゃそれは」
「そんな言い方されたら余計に気になるじゃなぁい」
「じゃあ、思う存分気にしてくれたまえ」
「「えー?」」

 二人のブーイングを無視して、コブラージャは勝手に笑みの形を作る唇に箸を運んだ。
 …『また君達と一緒に食事を出来るようになったのが嬉しい』なんて、恥ずかしくて言えるわけないじゃないか。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
Mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ表示(チェックを入れると管理人だけに表示できます)
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[02/11 ルナ]
最新TB
プロフィール
HN:
龍神楚良(たつがみ そら)
HP:
性別:
非公開
趣味:
星矢の冥界神々に萌えること、東方
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析

Powered by Ninja Blog    Material by mococo    Template by Temp* factory
Copyright (c)青い空と緑のかえると漫画メシ All Rights Reserved.


忍者ブログ [PR]