漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
「3000字以内のショートショート。3000字を越えた時は3000字以内に収まるように重要度の低い部分を削る」という縛りで書いています。削っても案外支障はないし、無駄をそぎ落とす練習と思うとこれも中々楽しいです。
際とかピクシブでまとめて公開する時はもうちょっと文章を推敲するかも。
絶対に3000字じゃ収まらないよ!という話の時は短編にシフトさせればよしと思うと気分も楽ですし。そんなこんなで今回はコブラージャ&えりかネタ。文字数縛りの為に説明できなかった前提設定など。
・コブラージャの人間時の名前は小早川ジャクリーン
・コブラージャはフェアリードロップのデザイナー兼店員として働いている
・プリキュア達の協力で砂漠の使徒時代の記憶を取り戻している
・週に何度か来海家で食事をご馳走になっている
SSは続きからどうぞ。
今回はギリギリ3000字です。
際とかピクシブでまとめて公開する時はもうちょっと文章を推敲するかも。
絶対に3000字じゃ収まらないよ!という話の時は短編にシフトさせればよしと思うと気分も楽ですし。そんなこんなで今回はコブラージャ&えりかネタ。文字数縛りの為に説明できなかった前提設定など。
・コブラージャの人間時の名前は小早川ジャクリーン
・コブラージャはフェアリードロップのデザイナー兼店員として働いている
・プリキュア達の協力で砂漠の使徒時代の記憶を取り戻している
・週に何度か来海家で食事をご馳走になっている
SSは続きからどうぞ。
今回はギリギリ3000字です。
「毒蛇と海・その1」
「ねぇコブラージャ。何か食べたいもの、ある?」
店のバックヤードに入って来たえりかの第一声はそれであった。
パソコンに向かって閉店作業中だったコブラージャは、キーボードを叩く手を止めて青い目を数回瞬いた。しなやかな指で素通しの眼鏡を押し上げて彼は質問を質問で返した。
「何だい、突然?」
「今日の夕食当番は私なんだけど、メニューが決まらないんだよねぇ。参考にしようと思ってさ」
「…へぇ。来海さんちは食事つくりは当番生なのかぁ」
「パパもママも、仕事が忙しくてご飯作る時間が無いとかよくあるから、自然にそうなったんだよ。もも姉は料理はからっきしだし、モデルだからうっかり怪我とか火傷とかしても困るしね。…で、何が食べたい?」
「急にそんなことを聞かれても困るなぁ」
コブラージャは眼鏡を外して、外した眼鏡を持った白い手で前髪をサラッと払った。口調と表情と指の角度まで計算づくの仕草、相変わらずのナルシスト振りである。微妙なホホエミを浮かべるえりかに手にした眼鏡を向けて彼は続けた。
「せめてもう少し条件を絞ってくれたまえ。メインは肉か魚か、和風か洋風か中華か、ガッツリかあっさりか、簡単に作りたいのか多少は手をかけるのか。ついでに予算があるならそれもね」
「んー…じゃあ、お肉でガッツリでお手軽に作れてご飯が進むおかず!和洋中のどれでもいいよ。予算はまぁ、あんまりけち臭くない程度で」
「ふむ…。…なら、焼肉はどうだい?小間切れか切り落とし肉を炒めて焼肉のタレで味をつければ、ガッツリ手軽でご飯も進むよ。キャベツの千切りとトマトでも添えれば彩りも綺麗だし。後は野菜のおかず一品と豆腐の味噌汁でもあれば十分じゃないかな」
「おおー!なんかすっごい具体的なアドバイスじゃん!ありがとコブラージャ、じゃあ今から買い物行って来る!アンタも今日はうちで夕飯食べていくよね?仕事が終わっても待っててよ!」
「今から?」
コブラージャはパソコンの時計に目をやった。時刻は五時半を回っている。一番近いスーパーまで歩いて10分位だが、中学生の女の子が一人で外出するには少々心配な時間帯だ。
彼は一度目を瞬いて視線をえりかに戻した。
「ひとりで?」
「そうだけど?」
「じゃあ、後10分待ってくれたまえ。一緒に行こう」
「へ?何で?」
「君を一人で買い物に行かせるのは心配だからね」
「なーに言ってんの。私はプリキュアよ?強盗に襲われたって返り討ちにできるよっ!」
「僕が心配しているのは、君が部外者の前で変身した上にプリキュアの力で一般人をボコることだよ」
「あうっ」
「…まぁ、これはジョークだけど。社長令嬢に買い出しと食事の支度をやらせて、従業員の僕が座って待ってるだけって言うのは美しくないだろう?荷物持ちくらいはしないとね」
「そう?なら、ありがたくお言葉に甘えちゃおうかなー。じゃ、マイバッグと財布とって来るねっ!」
何だかんだ言いつつもコブラージャが同行を申し出てくれたのは嬉しかったので、えりかはにっこり笑って足取りも軽くバックヤードを出て行った。
それから二時間後、来海家。
「ただいまー」
「おかえりなさい、あなた」
「お帰り、パパ」
「お帰りなさい、お邪魔してます」
「…………」
「やぁ、小早川君」
仕事を終えて帰宅した流之介は、ダイニングにいるコブラージャに笑顔を見せ、父の帰宅をガン無視してテーブルに齧りついている娘の姿に首を傾げた。
「…で、えりかは何をしているんだい?」
「宿題の読書感想文だって」
「明日が提出期限だったことをすっかり忘れてて、買い物に行った先で偶然会ったつぼみちゃんに言われて思い出したそうよ」
「うう~…」
「はは、今気がついてよかったじゃないか。…ん?じゃあ今日の夕食当番は?ママと交代かい?」
流之介の質問にさくらとももかは顔を見合わせてにっこり笑って、同時にコブラージャを指した。
「「今日の夕飯は、小早川さんが作ってくれまーす!」」
「えりかちゃんに『宿題を手伝って!』と言われて、そんなズルはダメだよと言ったら『じゃあ夕食当番交代して!小早川さんは自炊してるんでしょ、料理男子の意地を見せてよ!』って言われて、何だか訳が分からないうちにそういうことに…」
「へぇ~。これはまた楽しみだね」
「料理の下ごしらえするところを見せてもらったけど、中々の手際のよさだったわよ。これは期待できるわね」
「そんなにハードル上げないで下さいよぉ」
コブラージャが苦笑しながら立ち上がると、原稿用紙を前にウンウン言っていたえりかも立ち上がった。
「私も手伝うよ」
「あれ?宿題は?」
「煮詰まって行き詰ってるから気分転換!さ、何をすればいい?」
「そうだね、まず…」
コブラージャと一緒に台所に入ったえりかは、言われた通りに皿を出してキャベツとトマトを盛りつけ始めた。ちなみにキャベツは軽く塩もみされていて、トマトは皮を湯むきしてある。えりかは感心しつつ、焼肉を作っているコブラージャに声を掛けた。
「細かい部分に手をかけてるね。おぬし、やりおるな」
「そんなご大層なものじゃないよ。切っただけのキャベツとか、トマトの皮の舌触りが好きじゃないだけさ。…えりか、小鉢を出してくれる?それから味噌汁の味見を頼むよ」
「了解」
えりかが小鉢を用意して味噌汁の味見をしている間に、コブラージャは出来上がった焼肉を盛り付けて、冷蔵庫から取り出したえのき茸とほうれん草のおひたしに胡麻油と醤油を入れて混ぜ始めた。味噌汁の味見をしたえりかが指でOKサインを作ると、おひたしを盛り付けていたコブラージャはホッとしたように笑った。
…来海一家の注目を一身に受けたコブラージャは、緊張の面持ちで料理をテーブルに並べて醤油さしとドレッシングを置いた。
「味は薄めにしてあるので、微調整はセルフでお願いします」
「りょーかい!」
「んん~これはおいしそうだね」
「さてさて、お手並み拝見よ~。いただきまーす」
いただきまーす!
コブラージャは妙に緊張しながら自分で作った料理を口に入れた。
…決してまずくは無いと思う。焼肉はタレで味をつけたし、おひたしは茹でて醤油と胡麻油をかけただけだし、味噌汁はえりかに味見してもらってOKを貰ったし…
などと考えながら内心ドキドキしていると、えりかが真っ先に口を開いた。
「おいしーじゃん!」
「本当、おいしいわ」
「これはご飯が進むねぇ」
「どうしよう、ご飯お代わりしたくなっちゃう」
「それは良かった」
コブラージャがほっと安堵の息を吐くと、ナイスアイデアを思いついた!という顔でさくらが頷いた。
「そうだ!これからは、水曜日の夕食当番は小早川君にしましょう!」
「…え?」
「私とパパとえりかで分担すると、私が週三回当番することになって不公平だと思ってたのよ~。週に一回小早川君が担当してくれれば一人二回で公平になるわ!」
「へ?ちょ、あの」
「あ、水曜日の都合が悪い時は他の日でも構わないわよ。ね、そうしましょう。皆もいいわよね?」
「「「異議なーし!」」」
「えー…」
目を丸くしてポカーンとしていたコブラージャは、自分の意思を無視されたことに抗議する気も失せて笑い出してしまった。
家族の一員のように接してもらえることが嬉しいという自分の気持ちを偽ることは出来なくて、だから。
素直な笑みを浮かべながら彼は思った。
…ああ、もう、全く。来海さん一家には敵わないな。
以下、没部分
(この後につぼみとえりかが宿題について話す場面を入れようかと思ったのですが、ここまで書いた時点で文字数チェックしたら既に危なかったので書かないままになりました)
…閉店作業を終えたコブラージャと連れ立ってスーパーに向かったえりかは、雑誌を見てくるという彼と別れて食料品売り場に向かった。カートにカゴをのせて野菜売り場に入ったえりかは、丸のキャベツと半分にカットされたキャベツを両手に持って真剣な顔で悩んでいるつぼみの姿に目を丸くした。
「あれ、つぼみじゃん!」
「…えりか!えりかも買い物ですか?」
「そそ。今日は私が夕食当番なんだ。つぼみはお使い?」
「はい。ふたばが熱を出してしまって、お母さんがふたばに付きっ切りだから、私が変わりに買い物に来たんです」
「そーなんだぁ。で、何を悩んでるの?」
「キャベツを一玉買うか半分のを買うか迷っていたんです。一玉で買った方がお得だし四人家族だからすぐ食べちゃうけど、荷物が重くなるし、どうしようかなって」
「なーんだ、そんなこと?気にせず一玉で買っちゃえ買っちゃえ!私、コブラージャと一緒に来てるから、荷物はコブラージャに持ってもらえばいいよ!」
「え、いいんですか?」
「いいっていいって。本人も『荷物持ちのためについていく』って言ってたし!」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
つぼみはにっこりと笑ってキャベツを一玉カゴに入れた。
…本人に了解を取らずに荷物持ちを安請け合いした仕返しに、えりかがコブラージャにこめかみグリグリされるのはこの十数分後のことであった。
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