続きを書いたり。

数日前のSS（2032年オリジナルサイキ）の続きなど。

「うぃーっす」

　ガデスは緊張感のない声と屈託のない笑顔で片手をあげた。エミリオは視線をちらりとマイトに向けて、後ろでにこにこしているブラドの姿に少しだけ表情を和らげた。
　エミリオさんも初出勤で緊張してるのかな。
　そんなことを思いながらマイトは後部座席に乗り込んだ。

「じゃあ父さん、いってきます！」
「いってらっしゃい。・・刹那、マイトをよろしくね。迷惑掛けることがあったら遠慮なく叱っていいから」
「マイトの前に神那やガデスを怒鳴ることになりそうだがな」

　どこまで本気かわからない表情で刹那は呟いて、また夕方にな、とブラドに言葉をかけて車を発進させた。
　

　ガデス、エミリオと並ぶ格好で後部座席に座ったマイトは手持無沙汰だった。
　刹那は運転中だし、隣に座っている二人は雑談をするほど親しい関係ではないし、神那は正直言って扱いにくい。
　外の景色をただ眺めているのもなんとなく居心地が良くないと思い始めた頃、ガデスがハンドルを握る刹那に声をかけた。

「ところで将軍様よ」
「・・・・何だ」
「どうしてそんな嫌そーな顔するんだよ、声をかけただけじゃねーか」
「貴様に「様」付けで呼ばれるのは気色悪い」
「ひでーなオイ」
「用件は何だ」

　バックミラー越しにきつい視線を送って刹那が尋ねた。
　元同僚が戻ってきたと喜んでいたと聞いたけど、この二人は仲が悪いんだろうか・・とマイトが内心ハラハラしていると、表情の薄い顔でエミリオが口を開いた。

「刹那とガデスがケンカ腰で話をするのはデフォだから。いちいち反応する必要、ないよ」
「そーそー。俺らは「ケンカするほど仲がいい」関係だからな」
「用件は何だと聞いている！」
「・・お姫さんと一緒になってオヤジになってお偉くなっても性格は変わってねーな、お前はよ・・」
　
　ガデスはわざとらしく肩をすくめて見せ、すぐにけろりとした顔で尋ねた。

「お前さん、将軍様なんだろ？なんで高級車にお抱え運転手で御出勤しねーんだ？」
「将軍様だから、あえて目立たんようにしているんだ。下手に目立つと面倒事が向こうから寄ってくるからな」
「父様の命を狙うバカが後を絶たないもんねー。バカのテロに一般人が巻き込まれたら、父様や新軍がバッシングされるから・・結構苦労してんのよ」