「冥妃」12話を…

ピクシブに先行投稿しました。
というのも、なぜかサイトへのアップが急にできなくなってしまって。（＠＠；）
時間も時間なのでメンテとかやってるのかもしれないので、時間をずらしてもう一度やってみるとします。

本当は1話でまとめたかったエピソードなのですが、神々の漫才が楽しすぎて長くなってしまったのでまた分割です。当サイト最長だった「黎明」を突破しちゃいました。

ここから先の展開はほぼ道筋が決まってるので勢いを保ったまま行きたいところです。

そして拍手もありがとうございます。おかげさまで頑張れています！

更新予定と…

　順調に話が進んでいるので、「冥妃」11話を今日中に更新する予定です。タナトスとベルセフォネーの漫才と異色コンビの地獄めぐりは書いてて楽しかったです！
　この地獄めぐりの最中にベルセフォネーが興味を持つ罪人を何人か出そうと思って、神話関係のサイトを探してみたけど見つからず、あれ～？と思ったのが先日のブログのネタです。
　言い訳しますと、星矢にハマってから近所の図書館に行ってギリシア神話の本を借りて読んでみたのですが、私の知りたい話（冥界の神々絡みの話）は見つけられず、文章も古風で読みづらく、早々にメゲてしまって記憶がかなり曖昧なのですorz。幸い、神話を分かりやすく解説したサイト様を見つけたので、そちらを思い切り参考にしています。
　私が名前を含めて知っていたのはアトラス・プロメテウス・シジフォスだけでして。アトラスは地上にいるし、シジフォスの一件はベルセフォネーが冥妃になった後の話なので時間軸的に出せず、このエピソードで出せる罪人はプロメテウスだけか…と諦めていたのです。情報を教えて下さったお二方のおかげで罪人を増やす事が出来ました、感謝感謝です。ありがとうございます！

　実は、教えていただいた情報を転載する際に名前を間違えるという大ボケをかましていました。ボケるにはさすがに早いと思うぞ自分…。
　と、いうわけで今度は大丈夫（の、はず）なギリシア神話の有名な罪人をもう一度掲載しておきます。いずれきちんとサイトに移したいなぁ。

ティタノマキアでクロノス側につき、ゼウスに逆らった罪で天を支えている巨神→アトラス
人間に火を与えた罪で禿鷹に内臓を喰われている予言と英知の神（後にヘラクレスによって助けられた）→プロメテウス
ゼウス、タナトス、ハーデス、ベルセフォネーを欺いた罪で永遠に山の上まで巨岩を運んでいる男→シジフォス王
親に命じられ夫を殺した罪で穴のあいた壷で水を汲み続ける女性達（彼女達が罰せられるのはかなり理不尽だった覚えがあります。アテナが助けようとして冥界に阻止されたとか…）→５０姉妹（ダナオスの娘達）
わが子を面白半分に殺して神に捧げた罪で目の前にある飲み物や食べ物に決してが届かず、永遠に飢餓に苦しむ男→タンタロス。ちなみに彼の孫とミーノスの孫娘が結婚している。　ギリシア神話のミーノスはゼウスの息子であり、死後、冥界のスタッフ（笑）になったそうです。ちなみにラダマンティスとアイアコスもゼウスの息子（半神半人？）で、死後ｒｙ
自分をゼウスと呼ばせてその真似をした思い上がりの罪で、シシュポスの近くで焼き串を回す鬼に永劫に炙られている男→サルモネウス（シジフォスの弟）
娘のコロニスを殺したアポロンの神殿を破壊した罪で、目に見えぬ糸で中空に吊るされた岩の下に永劫に枷で手足を繋がれた男→プレギュアス
ヘラを誘拐しようとした罪で永劫に燃える火の車に鎖で繋がれた男→プレギュアスの息子・イクシオン
冥妃ベルセフォネーを誘拐しようとした罪で忘却の椅子に座りっぱなしにされた男→イクシオンの息子・ペイリトオス　この話は当サイトの拍手お返事SS「答えは目の前に」でネタにしております。ちなみに、ヘラクレスは彼も助けようとして失敗したんだったか…。


拍手お返事は続きから。

ぎんのすけ様

　お久しぶりです！私もぎんのすけ様のサイトにお前もうストーカーだろと言われそうなほど通って、ブログやSSにニヤニヤさせて頂いております（照）。
　スプーン三姉妹は『５０姉妹（ダナオスの娘達）』ですか！一体どこからスプーンと三姉妹が出て来たのでしょう…シンデレラあたりとごっちゃになっていたのでしょうか（＝＝；）。ぼんやりと、複数の女性が、『その理由で永遠の罰はあんまりなんじゃ…』と思うような理由で終わらない水汲みをさせられていたような覚えがあったのですが、言われてみればなるほど納得です！
　神話のアテナは『ちょ、おまｗｗ』なエピソードばかりかと思っていたのですが（アラクネとかメデューサとか『最も美しい女神へ』の黄金林檎とか）そんなまともな事も言っていたのですね。ちょっと見直しました（笑）。
　貴重な情報、ありがとうございます！

タナカ様

　メッセージありがとうございます！いえいえいえいえ御指摘の点については、単純に私のミスですので気にしないでください！教えて頂いた情報はきちんと伝わっております。私が筋金入りのボケでして、頭では右と思いつつ口では左と言う程の超ボケでして、今回もその手のボケですので。こちらこそ申し訳ありませんでした（＞＜）。
　貴重な情報を頂けて、身に余る有難いお言葉もいただけて、もう身もだえしそうなほど嬉しいです。ブログの情報も修正しておきます！

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当日に更新忘れました＆拍手お返事

9月30日に「冥妃」10話をあげました。最短でも14話と言っていましたが、何だかもっと伸びそうなヨカーン…。今は12話に当たる部分に取り掛かったのですが、ヘカーテ様大暴走というか大活躍というか、そんな話なので書いてて楽しいのなんの（笑）。冥界神々＋オリンポス神々で掛け合い漫才もやりたいので、1話で収まるかどうか…。

それと、今日は冷たくて甘いものがほしくてモスのシェイクを食べ（飲み？）ました。久々のせいか、うめぇぇぇーーー！！近所にマックやミスドがあるのですが、マックの100円シェイクは甘すぎてううーん、で、ミスドではシェイクの取り扱いがなく、好みのシェイクは遠出をした時しか食べられないのです。


そして拍手お返事。
えっと…お名前をここで書いていいのか判断できませんでしたので、「30日の方」とさせていただきます～。

メッセージ＆ギリシア神話の罪人のお話、ありがとうございます！感謝感謝です！ブログの方に転載させていただきます！
アリーズ…懐かしいです～。昔、夢中になって読んでました。私のひいきキャラはミノース、アポロン、ポセでした。あの漫画のせいでギリシア神話を大いに誤解した気がします（笑）。頭の中が星矢一色になった今でも、あの作品のインパクトは強くてこっそりといろんなところで影響を受けてるなーと思います。ハーデスの妃の名前やヘカーテの能力に始まり、ヘカーテやエリスの外見はアリーズがモデルになってますし。亜里沙が第一話（？）で言っていた「冥府に攫われたベルセフォネー本人の気持ちはどうだったんだろう？」という言葉はいまだに印象に残っています。

そして罪人たちのエピソードも興味深いですね。グロさと同時に妙な茶目っ気を感じてしまいます（笑）。
そしてシシュポスさん一家ェ…。
スプーン三姉妹の話は一体どこで見たのか全く思いだせず、サイトも見つからないので別の話と記憶がごっちゃになっているのかもしれません（＝＝；）
素敵な情報＆お言葉ありがとうございます！今後も冥界神様ひいきで、神話を独自解釈して突っ走っていく所存ですので、お暇な時にぜひまたいらしてください！（＾＾

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「冥妃」第9話更新です

8話の予告で長くなると言ってましたが、予想以上に長くなってしまって結局二分割したエピソードの前半部分、9話を公開しました。
ヘカーテとの初対面、女神との会談の最後の最後にぽつりと本音を漏らすタナトスなど、書きたいことが詰まっていた1本です。

んで。
「冥妃」シリーズを書き終えたら次はどのシリーズを書こうか悩み中です。まぁ完結まで最低あと4話あるので気が早い気がしなくもないのですが、今までは「この話を書き終わったら次はあれを書こう」みたいな決意的なものがあったのですが、今回その決意がわいてこないので、アンケなど募ってみようか…と思っています。全然反応ないかもしれないし、反応をいただいても小宇宙という名の創作意欲が燃え上がって書きたいものを書くかもしれないし、キャラ紹介も書きなおしたいし東方もやりたいのですが。

ピクシブでもアンケ置いてみようと思ってるので、拍手でもピクシブでも、お好きなところに反応していただけたら嬉しいです。

そして拍手もありがとうございます。やる気の源です。

アンケの項目的なものは続きから～。

現時点でネタがあるSS
サブタイ指定でも、時間軸指定でも、お好きなように～


神話時代の時間軸

軍神：兄弟げんかが原因でタナトスが仕事放棄して、アレスが解決する話
英雄：ヘラクレスにタナトスがボコられる話
知将（仮）：シジフォス王にだまされたタナトスが監禁される話
聖戦：神話の時代が終わり、ハーデスが妃と別れ、聖戦を起こす話

LCの時間軸
聖櫃：封印後の双子神のだべり

2012の時間軸
対価（後編）：短編SS「対価」の続き。地上に行くタナトスとヘカーテ
魔界：「霊界」の後日談。魔界統一トーナメントに参加する双子神
視察：「霊界」ではしょった話。ぼたんのお仕事を拝見するタナトス
幻想：双子神が幻想郷に行って、八坂・洩矢のニ神と会談する話。

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「冥妃」第8話更新です

最近は順調に筆が進んだので早めに更新できました。
話の区切りの関係でちょい短めですが…9話はヘカーテと初対面ということもあり若干長くなりそう…と思っていたら予想以上に長い…かといって分割するのも微妙かな…そして意外に当初から予定していたエピソードで苦戦中。明日にはめどをつけられるかなぁ…。

んで。
相方がFF10を久々に遊んでまして、楽しそうだなー私もやろっかなー思っていたのですが。
このゲーム、主人公たちの最強武器を手に入れるためにはミニゲームをクリアする必要がありまして。そのクリア条件がめっさ厳しいキャラもいるのです。最初にでたノーマル版では裏技使用で楽々クリアできたのですが、ベスト盤ではどうやら裏技が使用できなくなっている模様…。

相方が煮詰まっているので私もちょっとミニゲーム触ってみましたが、5分でストレスが限界突破しコントローラーを投げ出しました（笑）。
障害物を避けつつアイテムを取るミニゲームなんですが、コントローラーで入力したとおりにキャラが動かず、アイテムを避けて障害物に当たりに行くという。
入力したとおりにきちんと動く東方ですらイージークリアできないのに入力したとおりに動かないゲームなんてやれませんがな（笑）。

そんなわけでしばらくSSと東方やってます。

「冥妃」7話目あげました

夜中にあげたんですが…7話目更新です。
8話はちょい別のキャラの視点から話を進める予定。そして何話で完結するか全く見通しが立っていません。今までの最長は「黎明」の12話だったので、その辺で締められたらいいなぁ思ってます。

話は思い切り変わって。
ご飯のおかずが中途半端に残った時の「再利用」って、カレーか茶碗蒸しが我が家の定番です。大抵のものはどっちかでいけます。ちなみに今日は、プルコギを茶碗蒸しにしました。おいしかったです（＾＾

「冥妃」第6話更新です

第6話あげました。
後になってからいろいろ解説付け足したいことに気づいたのでこっそり書き足すかも。
そして最近のSSは7話前後で完結してましたが、今シリーズは7話で終わりそうな気がしませんぜ。
タナヒュプお兄ちゃん達の頑張りはまだ続くよ！

そして、昨日ようやく東方神霊廟イージーを霊夢でノーコンクリアしました。早苗さんはもうちょっとかかりそう。トランスの回転の速さを使いこなせばサクサクいけそうな気がするんですけどね。

そして昨日のアクセス数にびっくりしつつSS書いてきます。

「冥妃」第5話更新です

「冥妃」シリーズ第5話更新しました。
なんつーか、ヒュプノスが空気だ…。深謀深慮な参謀タイプのキャラって動かしにくいんだよなぁぁぁぁと言い訳。今後もタナトスが出しゃばってヒュプノスは空気三歩下がって後ろをついていく感じになりそうな…。

んで。
私は部屋の出窓に冥界神様のフィギュア（マイス）を飾っているのですが。
その出窓のカーテンを閉めようとした相方が、眠り神様をひっくり返してくれました（笑）。さすが神様、パーツが少し外れただけで大破はしなかったのですが。
　マイスを立てるためのスタンドから本体が外れてしまったので、ちゃんと元通りにしてよと頼んだのですが…私以上に手先が不器用な相方、ヒュプノス様をスタンドに固定できません（笑）。

「神様のくせに不安定すぎ！！」と怒っていたので、「だって青銅に負けるような神様だもん」と返しておきました。罰あたりです。
揚句、（ひっくり返していない）タナトス様とハーデス様にも「無駄にでかい羽根つけるな！」と文句を言っていました（笑）。

しかし相方よ。
ひっくり返した相手がタナトス様でなくヒュプノス様でよかったと私は思うよ（笑）。

「冥妃」第4話更新してました＆拍手お返事★＆腰痛3日目…

「冥妃」シリーズ、第4話を更新したのに書き忘れてましたorz
そしてここ数日腰が痛いです。バイト先でちょい重い物もったから？？といってもいつも持ってるけど…疲労がたまっていたのでしょうか。
東方神霊廟、イージーで挑戦してノーコンクリアならず（苦笑）。何だか、システムをいまだにきちんと把握していないのと、危ないときにトランスではなくボムを使ってしまうのが敗因だった気がします。後普通に凡ミス（笑）。

拍手押してくださる方、ありがとうございます！！
そしてお返事。

9月11日の方

当サイトにお越しくださりありがとうございます。ネウロの更新が止まって年単位の時間が流れていますが、まだこんな辺境サイトにいらしてくれる方がいてありがたいです。松井先生の次回作、まだかな…。
さて、お尋ねの「R邸」ですが、現時点で再開の目処が全く立っておりませんorz
事件の犯人や、不自然で不確定な「殺人」の理由が「予想外の事故」だったことは公開してしまったのでもういいか…的な気持ちになっていまして…。それ以上に、被害者が助けを呼ばなかった理由付けが説得力ないかなぁ…とか、いろいろと思うところがありまして。面白いと言っていただけて大変光栄なのですが申し訳ない限りです…。
もし続きを書くことがあったらサーチエンジンで更新手続きをすると思いますので、お暇なときにでものぞいていただければ幸いでございます。本当に、投げっぱなしで申し訳ありません（＞＜）

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冥妃第3話と…

今日は予想外に筆がすいすい進んだので、「冥妃」第3話公開です。
そして、新しく見つけた素敵サイト様でバレンタイン（冥闘士ではなくチョコの日の方）をネタにした漫画を拝見して、その勢いで1時間ほどで書き上げたSSをブログとピクシブに投稿します。

今日は何かに取りつかれたように短い時間でSS書いたな…。

SSは続きからどうぞ。

双子神2012・乙女ノ心


「バレンタインはいるか」

　不意に尊大な声を掛けられて振り向いたラダマンティスは、声の主が誰か把握するのにコンマ数秒かかった。
　プリントTシャツにフード付きのパーカー、ブルージーンズに足元はショートブーツ、そして野球帽のようなキャップを被ってついでに後ろ髪を無造作に括ったその男は、泣く子も黙る双子神の片割れタナトス様である。
　ああそうか、また地上にお出かけだったのだな。それにしても小宇宙を押さえていてこの格好ではぱっと見誰か分からんな、うっかり無礼な事を言ってしまいそうで危険な気がするな、冥界に戻ったら攻めて小宇宙だけでも解放してくれるように頼んでおこうか…。
　一瞬でそんな事を考えつつ、ラダマンティスは作業の手を止めて膝を折り傅いた。

「バレンタインは本日お休みを頂いておりますが」
「連れて来い。今すぐだ」

　神様にとっては人間の休日など知ったこっちゃないという事か。
　せっかくの休日を、よりによって死神様に呼び出されて潰される部下を気の毒に思った時。

「ヘカーテ様直々に、バレンタインをお呼びだ」
「え？…は、ハッ。直ちに呼んで参ります」

　何故ヘカーテがバレンタインを名指しで呼び出すのか怪訝に思いつつ、ラダマンティスは急いで部下を呼び出した。
　



　…バレンタインは何故呼び出されたのか分かっていない様子で、緊張で青ざめつつラダマンティスに連れられて来た。
　タナトスは何も説明しないまま、着いて来い、と一言命じてさっさと歩きだした。

「あ、あのう、タナトス様」
「何だ」
「ヘカーテ様はいったいどのようなご用件で私をお呼びなのでしょうか」
「俺が知るか」

　バッサリ。
　一言で切り捨てられてバレンタインはますます青ざめた。タナトスが不機嫌でなさそうな事だけが唯一の救いである。
　
（俺、あの女神に目を付けられるような事、何かしたっけ？マウスパッドも普通に受け取ったし、特に失礼な事をした覚えは無いんだけど…）

　明らかにビクビクしている冥闘士に死の神は同情交じりの目を向けた。

「まぁ、そんなに案ずるな。ヘカーテ様に呼び出されたとて、神殿にはエリスもいる故な、悪くしても押し倒される程度ですむであろう。いきなり取って食われる事は無いと思うぞ。…多分な」
「はぁっ！？押し倒されるって…ええっ？？それと多分って何ですか！？俺、一体あの方に何をしたって言うんですか！！？？」
「あの方の考える事は俺にも分からぬ。…さ、神の道を通るぞ。これを付けろ」
「………」

　あわあわしながらバレンタインは差し出された通行証を受け取って腕に巻いた。
　…頭が混乱したままタナトスに連れられて神の道を通ってエリシオンに到着したバレンタインは、初めて目にする神の御所に感動する暇もなく、目の前に現れた三つ頭の犬にぎょっとした。
　タナトスは三つ頭の犬をぽんぽんと叩いて地面に伏せさせた。

「乗れ」
「はっ？」
「ケルベロスに乗れと言ったのだ。後はこいつがヘカーテ様の神殿までお前を運んでくれる」
「ええっ？私ひとりでですか？タナトス様もご一緒では…」
「お前一人を寄越せとヘカーテ様のご命令だ。仕方有るまい」
「えええ…」

　ちょ、マジで怖いんですけど。
　縋るような目を向けてみたものの、死神様はビクとも表情を動かさない。
　どうにもこうにもならないと察したバレンタインは半分魂が抜けたまま巨大な犬の背によじ登った。

「では頼んだぞケルベロス。こいつを運んだ褒美はエリスかヘカーテ様から貰うが良い」

　三つ頭の犬は死神に鼻面を擦りつけて身軽に飛び立った。




　ヘカーテ神殿に到着したバレンタインが近くにいたニンフに用件を告げると、中に入るように促された。
　…恐る恐る神殿に足を踏み入れてニンフに案内されるまま廊下を進むと、甘い匂いが鼻をくすぐった。

（この匂いは…チョコレートか？）

　そんな事を考えていると、ひときわチョコの匂いを漂わせる部屋の前でニンフが立ち止まった。
　どうやらここがヘカーテとエリスの待つ部屋らしい。
　バレンタインは意を決して扉を叩いた。

「ワイバーンのラダマンティス配下、ハーピーのバレンタインにございます」
「はいはーい、いらっしゃーい」

　妙な抑揚をつけた声と共に扉が開いてエリスが顔をのぞかせると同時に、チョコの甘い香りがふわっと広がった。
　…彼女の服装に、バレンタインは自分が何故ここに来たのかを忘れかけた。
　胸元に大きなリボンがついて、ミニスカートの裾に控えめなフリルが付いた可愛らしいデザインのメイド服。白いニーソックスに絶対領域、ついでに頭にはカチューシャが付いている。
　何だ、一体なんだ。何がどうして女神がメイドのコスプレなんてしてるんだ。
　混乱する頭で部屋に入ったバレンタインはヘカーテの姿に二度目の絶句をする羽目になった。
　ボタンのたくさんついたブラウスに裾の長いスカート、糊のきいた白いエプロンというメイドコスはむしろ、普段の目の毒だか保養だか分からない格好よりある意味マシだ。しかし何故、頭にくっついてるのがカチューシャではなく猫耳なのだ。いや、可愛いし似合ってるけど。
　混乱して挨拶も忘れて棒立ちのバレンタインに、ヘカーテはにっこりと笑って見せた。

「ようやく来たか。お前がバレンタインだな？」
「は…はい」
「私達がお前を呼んだのは他でもない、重要な任務を与えるためだ」
「ハッ」

　…メイドコスした女神がチョコを作りながら与える重要な任務って…まさか。
　嫌な予感をビシビシ感じる彼に、女神達は悪戯心たっぷりの微笑みを見せた。

「バレンタインのチョコ配布イベントを手伝って貰うぞ、バレンタイン！」
「………」

　やっぱりか！
　つーかそんな一発ギャグの為にわざわざ休日の俺を呼び出したんか！！
　と、内心で思ったものの。
　相手は冥王ハーデスに継ぐ神格と実力を持つ女神様だ、逆らうなど天地がひっくりかえっても有り得ない。
　部屋の一角に山と積まれた手作りらしいチョコを横目で見て、かしこまりました、と頷くしかなかった。



　
　…つか、こんなことならあの双子神やら夢の四神の手を借りればいいだろうに。大体、冥闘士の皆だって俺が包んだチョコなんて貰っても有難くないだろうよ。一応、中身のチョコは女神様のお手製らしいけど…。
　そんな事を思いながら黙々とチョコをラッピングしていると、目の前にコーヒーが差し出された。女神様おてづからの一杯である。

「あ…ありがとうございます」
「お前はブラック派か？それとも砂糖やミルクを入れるのか？」
「えーと…」
「ちょいちょい、違うよヘカーテさん。そこは『砂糖やミルクをお入れしますかご主人様？』って言わなくちゃ」
「ああ、そうか」
「いいいいいえいえいえいえ！！とんでもございまままません！！！」

　ヘカーテ様にコーヒーを淹れてもらっただけでも恐れ多いのに、そんなセリフまで言わせたとタナトス様にばれたらタダでは済まない。
　そう思ったバレンタインは慌ててカップを受け取って自分でミルクと砂糖を入れた。
　メイドの役目を逃したヘカーテは少しがっかりした風だったが、気を取り直したようにチョコの箱を二つ持ってきてバレンタインの前に置いた。
　ひとつはプロが造ったと分かる品物で、もうひとつはいかにも素人お手製という出来だ。

「？」
「両方食べてみろ。ああ、毒や薬は入っていないから安心するが良い」
「は…では失礼して」

　勧められるままバレンタインは箱からチョコを一粒ずつ摘まんで口に入れた。
　プロ作らしいと思ったチョコは感動するほど美味だ。素人っぽい方は、流石にプロには劣るがそれでもなかなかの出来である。

「どっちが美味であった？」
「私は、こちらかと」

　正直にプロ作らしいチョコを指すと、ヘカーテはうーんと唸った。
　何かまずい事を言っただろうかと心配していると、彼女は複雑な顔のまま質問を重ねた。

「では…こちらがプロの造った市販品、こちらが彼女の手製品だったら、お前はどちらのチョコが欲しい？」
「………」

　バレンタインは目をぱちくりして、ああそうか…と納得した。
　双子神も夢の四神も呼ばず、わざわざ冥闘士の自分を呼び出したのはそういう訳だったのか。
　バレンタインはにこりと笑った。

「それは勿論、彼女お手製のチョコですよ」




　開けて翌日、2月14日。
　エリスとヘカーテはバレンタインに山のようなチョコを持たせてメイドコスで冥闘士達にチョコを配って歩いていた。
　…ちなみに双子神と夢の四神も嘆きの壁まで呼び出されていたのだが。
　袋の底に残っていた（バレンタインがラッピングした）チョコをタナトスにドヤ顔で渡すヘカーテを、バレンタインは凄まじく微妙な顔で見ていたらしい。



タイトルが思い浮かばなかったです…。バレンタインを漢字四文字か漢字三文字＋ノでどうやって表せば！ｗ

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