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漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
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「知将」を書きあげたので、数日前にネタが出て書きたかった「冥界神々ですき焼き」の話をブログで先行公開します。

まだ途中です。続きがあります。けど、今日はタイムリミットなので途中まで。1話でまとめたかったけど長いので前後編になるかも…。

続きからどうぞ。

拍手[1回]


 冥界と聖域の和解が成立し、夏が過ぎ去り、ハロウィンイベントも終わって地上が冬を迎える頃。
 争いの女神エリスが冥府に遊びに来ると聞いたタナトスは、その日は自身の神殿に夕食を食べに来るよう冥界の神々に声をかけた。
 絶対何か画策してるな…と確信しつつ、ハーデスとヒュプノス、夢の四神、そしてエリスは招待を受けた時間にタナトス神殿を訪れた。
 部屋の扉を開けた途端、ご飯が炊ける香りがエリスの鼻をくすぐった。日本人として生きていれば否応なく食欲を刺激される匂いだ。卓の真ん中には鉄鍋がデンと置かれ、その周りには肉や野菜や豆腐や白滝に生卵が所狭しと並んで、サブテーブルでは徳利が何本も湯煎されている。
 これは…今夜はすき焼きだ!
 曲がりなりにも神である兄が用意した食材だ、女子大生が口に入れるなど不可能なレベルの高級な肉に違いない。エリスは思わずジュルリと涎を垂らした。

タナトス 「よく来たな!今夜は俺が料理を振る舞うから、存分に堪能していくが良いぞ!(ドヤ顔で大イバリ)」
ヘカーテ 「さぁ、皆適当に席につけ。酒も用意してあるからな!(猫耳ぴるぴる)」
ヒュプノス 「………。ヘカーテ様の猫耳メイドコスはいいとして、何故招待する側にあなたがいるのです?」
エリス 「ヒュプ兄、スルーするポイントと突っ込むポイントが逆じゃない?」
ハーデス 「そうか?実にヒュプノスらしい突っ込みだと余は思うが(にこにこ)」
オネイロス 「とりあえず、席につきましょうか」

 皆が卓についたのを見て、タナトスは慣れた手つきで熱した鉄鍋に脂を塗り始めた。

タナトス 「この料理は作る過程も楽しみの一つ故、酒でも飲みながらしばし待て。…実はな、先日ヘカーテ様と一緒に霊界を訪ねた時、コエンマとぼたんから『スキヤキ』という日本の名物料理を馳走になったのだ。これがすこぶる美味でな。(肉を焼き始める)しかも彼らが言うには、日本には冬になると家族や仲間でひとつの鍋で作った料理を皆で食べて親睦を深める習慣があるのだそうだ。実に好ましい習慣ではないか(肉が焼けたので野菜と割り下投入)」
ヒュプノス 「それで早速その文化を導入したわけか」
タナトス 「そうだ。しかし俺一人で全てを取り仕切るのは少々大変でな、ヘカーテ様に協力をお願いしたと言う訳だ」
ヘカーテ 「そういう訳だ。で、酒は何が良い?日本酒の他にワインもあるが(猫耳ぴるぴる)」
エリス 「日本酒は熱燗しかないの?」
タナトス 「ぬる燗や冷やが良ければヘカーテ様に頼め。適温まで冷まして下さるぞ」
パンタソス 「ぬる?ひや??」
エリス 「じゃー私ぬるめの燗で~」

 アツカンとかヒヤとか一体何の事かと怪訝そうな神々の前でエリスが手を上げると、ヘカーテが湯煎状態の徳利を取って少しばかり冷気を注ぐとおちょこと一緒にエリスに渡した。

ヘカーテ 「ぬるめの燗、お待ち!(猫耳ぴるぴる)」
エリス 「ありがとー。ヘカーテさんを冷却機代わりにするなんて兄貴にしかできない芸当だねっ。…あのね、日本酒は色んな温度で飲むもんなんだ。あっつあつの『熱燗』、冷たいままで飲む『冷や』、その中間のぬるい温度で飲む『ぬるめの燗』ってあるんだよ」
冥王+夢の四神 「へぇー(感心)」
タナトス 「熱くも冷たくも無い曖昧な温度の酒を好む…イエスかノーか、白か黒か、はっきりつけない玉虫色を好む日本人らしいではないか(野菜が煮えたので豆腐と麩と白滝投入)」
エリス 「そんなご大層なもんかなー?(日本酒きゅっ)ぷはー、うっまーい!」

 完成間近のすき焼きは良い香りをこれでもかと漂わせ、エリスの飲みっぷりに他の神々も何か腹に入れたくなってきた。

オネイロス 「では私も、せっかくなのでぬるめの燗を」
モルペウス 「私は熱燗を頂きます」
パンタソス 「じゃー僕は冷やで~」
ハーデス 「余は熱燗を」
ヒュプノス 「私はワインを頂きます」
イケロス 「ウーロン茶とか無いですか?」

 皆が好き勝手に希望を言ったが、ヘカーテは嫌な顔をするどころか嬉しそうに徳利を出したり酒を冷ましたりワインを開けたりウーロン茶を取ってきたり、くるくると働いている。普段と違う事が出来るのが楽しくて仕方ないのだろう。
 最後に投入した豆腐や麩が熱くなったのを見て、タナトスはそろそろか、と呟いた。

タナトス 「ではハーデス様、お好きな方の卵をひとつ、器に割って良く混ぜて下さい」
ハーデス 「卵?」

 ハーデスはテーブルに山と積まれた白い卵と茶色い卵に怪訝そうな顔をした。

ハーデス 「白と茶色があるが、どちらが良いのだ?」
タナトス 「白い方は一般的な普通の卵です。茶色い方は、ナントカという高級な鳥の卵です。…何と言いましたっけ、コチヤ、でしたっけ?」
ヘカーテ 「名古屋コーチン、だ」
エリス 「へぇ~結構高級じゃーん」
ハーデス 「ふむ…ならば、ここは敢えて普通を行ってみるか」

 ハーデスは白い卵を取って、ぎこちない手つきで器に割りいれると言われたとおりにグルグル混ぜた。
 タナトスは満足げに笑って、出来あがったすき焼きの肉や野菜をハーデスの器に解説しながら取り分けた。まずは冥王に食べてもらおうと言う事だろう。エリスはつまみ食いしたい気持ちを押さえて箸を握り締め、じーっと待っていた。

タナトス 「これがマツサカウシとかいう高級な肉、こちらは、オージーというB級の肉です。これは焼き豆腐、これは麩、これは白滝、別名イトコンニャクです。野菜は…今更説明は要らないでしょう。…さぁ、どうぞ」
ハーデス 「ありがとう、では先に頂くぞ。それにしても、生卵に絡めて食べるとは面妖な料理よな…(ちょっとびくびくしながら肉を口に入れる)」
エリス 「どーお?美味しい?」
ハーデス 「…んむ。んん、これは美味いな。正直余には高級とB級の区別がつかぬが、この料理が美味いという事は分かるぞ。名物と言うだけの事はある」
タナトス 「お気に召していただけたなら幸いです。…さ、皆も好きなものを取って食べるが良い。材料はたっぷりある故な」
エリス 「いっただっきまーす!」

 エリスが真っ先に箸を伸ばし、ヒュプノスと夢の四神も卵を割って鍋に箸を伸ばし始めた。
 
オネイロス 「この白滝と言うのは不思議な食べ物ですね。食感は独特なのに味がない、なのに妙に美味い」
タナトス 「コンニャクという芋から出来ているそうだ。コンニャクゼリーなる菓子もあるから、食後のデザートに出してやろう」
イケロス 「うめぇ、マジすき焼きうめぇぇぇぇ」
パンタソス 「ちょ、イケロス、肉ばっかり食うな!」
ヒュプノス 「ハーデス様、召し上がっていますか?丁度肉が良い加減に煮えましたよ(肉をハーデスの器に入れる)」
ハーデス 「んぐ、すまにゅな(もぐもぐ)」
タナトス 「ハーデス様、卵が少なくなってきましたね。新しいのをどうぞ(新しい卵入りの器を差し出す)」
ハーデス 「ん、ありがとう」
エリス 「兄貴ー、煮詰まってるから水入れてー。あとうどん入れてー」
タナトス 「分かった分かった」

 すっかり鍋奉行状態のタナトスの横で、猫耳メイド服姿のヘカーテが炊飯器のふたを開けてしゃもじと茶碗を持った(それにしても妙な図だ、とエリスは思った)。

ヘカーテ 「白いご飯ほしい奴、挙手!(猫耳ぴるぴる)」
エリス 「はいはーい、大盛りでおねがーい!」
パンタソス 「僕もー」
ハーデス 「余も軽く一杯」
ヘカーテ 「今日は無礼講だからな、名乗った順番だぞ(丼にご飯をよそう)」

 どどど、と片手で野菜を入れつつ片手で日本酒を飲みながらタナトスがヘカーテを見遣った。

タナトス 「ヘカーテ様、雑炊用に残しておいて下さいね」
ヘカーテ 「大丈夫、雑炊の分は別に炊いてあるから。…ところでタナトス、ちゃんと食べてるか?さっきから鍋と皆の面倒しか見てないだろう」
タナトス 「合間合間につまんでますが」
ヘカーテ 「仮にも主君の口に入れている物を臣下のお前がきちんと毒見しないでどうする。(食べごろの肉を取って卵を絡めてタナトスに差し出す)ほら、食べてみろ。それから高級かB級か当ててみろ」
タナトス 「………(もぐもぐごっくん)…砂糖と醤油で味付けして更に卵が絡むと肉の味は分かりませんね」
エリス 「松阪牛とオージービーフの区別がつかないなんて…そんなだから二流って言われるんだよ、兄貴ぃ」
タナトス 「黙れ愚妹!高級和牛の脂で炒めればどんな肉も美味くなるとコエンマが言っておったわ!」
ヒュプノス 「身も蓋もないな…(高級牛肉を取ってタナトスに差し出す)ほら、こっちが高級の方だ」
タナトス 「んー……(やっぱり分かってない顔)」
ハーデス 「美味ければ何でも良いではないか(にこにこ)」
オネイロス 「ところでタナトス様。さっきから気になっていたのですが、この、白くて固いものは何ですか?」

 座った場所の関係で豆腐や白滝を入れる役目になっていたオネイロスが、怪訝そうに皿に乗った食材を指して尋ねた。

タナトス 「ああ、それか。それは餅という。モチゴメという米から作る、日本ではポピュラーな食べ物だ。そのままでは固くて食べられぬが、加熱すれば柔らかくなって美味く食べられるぞ」
オネイロス 「なるほど。では入れれば良いのですね(餅をすき焼きに投入)」
ヘカーテ 「食べる時は十分注意しろよ。日本ではそれを喰って死ぬ人間が何人もいるそうだ」
ハーデス+夢の四神 「ええっ!?」
タナトス 「うむ。餅は正月頃に特に良く食されるのだが、餅を食って死んだ人間が多くなると霊界では『ああ、正月だなぁ』と実感するのだそうだ」
エリス 「物騒な正月の実感だねぇ…」
モルペウス 「命の危険を冒してまで食べたいほど美味なのでしょうか、この餅とやらは…(深刻顔)」
オネイロス 「正月の名物を食べるにも命がけとは…そのような国に産まれたのなら、日本の聖闘士が強かったのも得心がいきますね(深刻顔)」
エリス 「いやいやいや、考えすぎだって。(餅をつつく)ほら、煮えたよ」

 柔らかくなった餅をオネイロスの取り皿に入れると、夢神は真剣な顔で餅を見つめ、意を決したように口に入れようとした。

オネイロス 「では…いざ!」
エリス 「ちょい待ち。一口で食べようなんて死亡フラグだよ。そーやって一口で食べようとしてジーサンバーサンが喉に詰まらせてあの世に行くんだから」
オネイロス 「ええっ!?で…ではどうすれば?」
エリス 「噛みちぎりなよ」
オネイロス 「な…なるほど。(餅の端っこを銜えて噛みちぎろうとする)………!!??」

 にゅー。
 途端に伸びる餅にオネイロスはびっくりして手を止め、夢の四神とハーデスはおおっ!と驚き、餅の何たるかを知っている双子神とヘカーテとエリスはその反応を面白そうに眺めていた。
 伸びる餅に四苦八苦しながら何とか咀嚼して嚥下したオネイロスはほっと息を吐いた。

オネイロス 「最初は驚きましたが、これは美味ですね。命の危険を冒しても食べたくなるのも分かります」
タナトス 「気にいったか、オネイロス?ならば明日は餅を使ったオシルコという菓子も食べさせてやろう」

 …和気あいあいと食事は進み、用意した食材があらかた無くなった頃、ヘカーテが別の炊飯器を持って戻ってきた(やっぱり何度見ても妙な図だ、とエリスは思った)。

ヘカーテ 「では、そろそろ締めの雑炊といこうか。良いか?」
エリス 「いいともー」
タナトス 「お願いします」
ハーデス 「シメ?ゾウスイ?」
タナトス 「すき焼きを食べた時は、最後に鍋に白いご飯を入れてリゾットのような物をつくるのです。これがまた美味いのですよ」
ヘカーテ 「タナトスは霊界ですき焼きの雑炊を食べて感激していたなぁ(猫耳ぴるぴる)」

 ヘカーテはにこにこ笑いながらご飯をすき焼き鍋に投入し、ざっと全体を混ぜると余っていた卵を溶いて流しこんだ。
 ジュウ、と音がして砂糖と醤油が焦げる良い香りがふわりと漂った。
 しゃもじで軽くご飯を押さえてジュウジュウ言わせると、ヘカーテは最初の一杯をタナトスに差し出した。

ヘカーテ 「雑炊は鍋奉行のお前からだな。私お手製のお焦げ付きだぞ」
タナトス 「ありがとうございます(にっこり)」

 受け取るなりタナトスはハフハフ言いながら雑炊を口に運び始めた。
 彼の食べる姿が美味しそうで、もうお腹は一杯だと思っていた神々も雑炊を受け取るそばから食べ始めた。

ハーデス 「うーむ、これまた美味だな」
オネイロス 「もう腹いっぱい、炭水化物など入らないと思っていたのに、なかなかどうして…」
イケロス 「うめぇぇーマジうめえぇー!」
パンタソス 「わ、餅!(餅にゅーん)」
ヒュプノス 「何が入っているか分からぬのが鍋のシメの雑炊の醍醐味だな(うどんチュルン)」
モルペウス 「前向きな闇鍋ですねぇ」

 皆がお代わりしたお陰で締めの雑炊も綺麗に無くなり、お腹が膨れた神々は口々に美味かった、またすき焼きを食べようと言葉を交わした。
 予想以上の好感触に、鍋奉行タナトスは実に満足げに微笑んだ。
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