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漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
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俺屍2の狐次郎があれやこれや盛大にやらかしてくれたので、残念なイケメン好きの血が騒いで色々とSS書いたりしてるのですが書きたい話が上手くかけずにあれやこれや書きかけで躓いてるのですが、短めにまとまりそうかなと思ったネタの冒頭が書けたので、推敲途中ですがここでお披露目します。
この後、2の時間軸でのお紺さんと狐次郎の駄弁りに続く予定です。

SSは続きからどうぞ。
人間時代の狐次郎の捏造です。



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 秋の夜空に浮かぶ満月がお稲荷神社の境内を照らす。
 割れて散乱した神酒の器、折れた榊の枝、鮮血が飛び散った神輿、牙と毛皮を紅く染めた三匹の狐、そして、無残な姿で息絶えた子供の姿。
 月明かりが照らし出す凄惨な光景を前に、甘く整った顔立ちの男…天界屈指の神力を持つ神…が柳眉を寄せて低く呻いた。

(飢饉が村を襲っているにも関わらず人々が盛大な宴を催しているから一体何事かと思って来てみれば…こういうことか)
(人々が飢えているなら獣も飢えている。このような山奥の神社に子供を放置しては獣に食われて終わりだと、何故気付かぬのか。それとも、神社に住み着いた野狐が神の遣いだとでも思っているのか…)
(そもそも神に祈りを捧げるなら、主のおらぬ神社ではなく神を祀った神社に祈らねば無意味であろうが…)

 唇を噛み締め、彼は子供に歩み寄ってその傍らにしゃがみこんだ。
 その体にはぬくもりが残っている。魂もまだ肉体に留まっているだろう。しかし、狐に半分以上体を食われた幼子を蘇生させるのは彼の神力を持ってしても不可能だ。バラバラになっていても肉体が残っていれば何とか出来たのだが、このままでは食われた子供は鬼になってしまう。
 …………。
 男神はふと顔を上げた。
 子供を食った三匹の狐は神である彼を前にして逃げ出すこともなく、それどころか隙あらば新たな獲物も食ってやろうと言わんばかりに眼を紅く光らせている。もしや、と思い神経を研ぎ澄ませてみると、狐達からは微弱な霊気が感じられた。
 男神の眼がすうっと細められた。

(この狐ども、人々の信仰心のお零れに預かって妖狐となったか)
(しかし、獲物の力量もはかれぬあたり所詮は獣よ)
(…この子供を食ったのはあの狐ども。それはつまり、狐どもの胃袋にはこの子の体が入っているということ…)
(…………)
(これも何かの縁、運命の神の悪戯であろう。この子を神にすれば、主の居らぬこの神社にも新たな神を据え、私の手駒を増やし、子供が鬼と化すのも避けられる)

 男神は懐から扇を取り出して、パァンと音高く開いた。――直後、三匹の狐は雷に打たれたように体を強張らせその場に昏倒した。

「九尾の狐ならばともかく、妖狐風情では私の動きを捉えることすら出来ぬよ。お前達には新たな神の素体となる名誉を与えてくれよう」

 彼は子供を食った三匹の狐を神輿に並べ、子供の遺骸をその上にそっと乗せた。壷の中に残っていた神酒を撒いて穢れを祓い、男神は印を結んだ。祝詞を唱えながら奥義を翻すと狐火が舞って神酒を燃やし、狐と子供を青白い炎が包み込んだ。

「…………。…………。――ハッ!!」

 裂帛の気合と共に扇を翻して狐火を払う。
 …狐の耳と尻尾を生やした子供が神輿に横たわっている姿を認めて男神は淡く笑んだ。
 神輿に歩みよって膝を折り、命の色を取り戻した頬をそっと撫でると、子供が睫毛を震わせて眼を開けた。その眼が人の身では決して持ちえぬ真紅の色に変わっているのを見て、男神は自分の試みが成功したことを知った。
 眼を開けた子供は体を起こし、彼の顔をしげしげと見つめて小首を傾げた。

「…ひょっとして、あなたは、かみさま?」
「ああ、そうだ」
「ぼくをたすけてくれたの?」
「さて、どうであろう」
「……?」

 不思議そうに首を傾げる愛らしい仕草に眼を細めつつ、男神は穏やかに尋ねた。

「坊や。君の身に何があったのか教えてくれぬか」
「えっと…」

 …………
 村を襲った飢饉の原因は神の怒りに因るものと考えた村人達は、生贄を捧げれば神の怒りが静まるはずと考えた。『生贄は若い娘か幼子が良い』…何の根拠もなくそう考えた村人達が相応の報酬を条件に生贄を募ったところ、男の子の両親が彼を差し出したのだという。
 幼子の話はあっちこっちに寄り道し、肝心なところが時々抜けていたが、男神が根気よく質問を重ね聞きだした話をまとめると概ねこんな経緯だった。

「きっとかみさまがたすけにきてくれるから、むらのみんなをたすけてくださいってかみさまにたのんでね、っていわれたんだ。じろうにしかできないだいじなおつかいだよ、って」

 悲しそうな顔で俯いたまま男の子はそう言って口を閉じた。両親がどんなに綺麗な言葉で取り繕っても、欲に目がくらんだ両親が自分を捨てたという事実は幼心にはっきりと理解したのだろう。
 男神は彼の頭を慈しむように撫でた。

「そうか。では坊やは…次郎は、頼まれたお使いをきちんとやり遂げたのだな。とても偉いぞ。そんな偉い次郎には、神として褒美をあげなくてはならないな」
「ごほうび?…って、なに?」
「神様の世界に連れて行って、次郎だけの家と村の皆の願いを叶える力をあげよう。ああそうだ、神様の世界に入るためには新しい名前が必要だからな、新しい名前もあげよう」
「そんなにたくさん?」

 ぱぁっと顔を輝かせた男の子に、男神はにっこりと笑って頷いて見せた。
 三匹の妖狐をその身に宿した、お稲荷神社の新たな主となる、次郎と言う名の人の子だった男の子と真っ直ぐに視線を合わせて男神は厳かに云った。

「そなたは今日この時より、稲荷ノ狐次郎と名乗るが良い」


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