漫画やアニメに出て来る料理を再現したり、萌え語りをしたり、日々の徒然を書き綴ったりするブログ。
Ω34話がこうだったら良かったな…という願望SSです。かなり短めなのでブログ+ピクシブで更新しました。
ユナが「私はもう何も失いたくないの」と言っていたので、多分有り得ないだろうけど、シラー撃破後にこの台詞を言って「『何も』の中にはあなたも入ってるわ」とか言ってくれたらユナ姐さんマジ惚れしますとか思ってたらやっぱりあり得ませんでした orz 私が知らないだけで同じ事は既に誰かがやってる気もしますが、やっぱり書きたかったので。シラーさん、復活しないかなぁ…。
SSは続きからどうぞ。
ユナが「私はもう何も失いたくないの」と言っていたので、多分有り得ないだろうけど、シラー撃破後にこの台詞を言って「『何も』の中にはあなたも入ってるわ」とか言ってくれたらユナ姐さんマジ惚れしますとか思ってたらやっぱりあり得ませんでした orz 私が知らないだけで同じ事は既に誰かがやってる気もしますが、やっぱり書きたかったので。シラーさん、復活しないかなぁ…。
SSは続きからどうぞ。
「幻想の時」
闇色の竜巻を呑みこんだ輝く竜巻がその勢いを増し、荒れ狂う暴風となってシラーに襲いかかった。
「…来るなぁっ!!」
風に言葉が通じるはずもなく彼の身体は竜巻に巻きあげられ弾き飛ばされた。
眼下に見えるのは溶岩の池。
あれに落ちたら死ぬ。
死ぬ!
シラーはっきりと死の恐怖を感じた。
無意識の生存本能に動かされるまま、何も掴む物が無い空に向かって手を伸ばした時。
迷いない手が彼の手を掴んだ。
「!?」
驚いて顔を上げると、真っ直ぐな眼をした少女…今の今までシラーと戦っていた鷲座の聖闘士の顔が見えた。
今の自分の状況も一瞬忘れて彼は思わず呟いた。
「何故、君が…」
「しっかり掴まって!あの溶岩の池に落ちたら、いくら黄金聖闘士でも助からないわよ!!」
「…………!!」
黄金聖闘士のプライドも恥もかなぐり捨てて、シラーは彼女の細い腕と小さな手に縋りついた。
…先程の戦いで力を使い果たしていたのだろう、シラーを崖の上に引っ張り上げた少女は肩で息をしながらその場にぺたりと座りこんだ。
崖っぷちにへたり込んだシラーは目を伏せたままボソリと尋ねた。
「…どうして僕を助けた。僕は君を殺そうとした、君の敵だよ?」
「あなたも戦災孤児だったんでしょ?落ちそうなものをみたら拾いたくならない?」
「………。笑えないジョークだ」
「私のせいで死なれたら後味悪いもの。それにあなた、化けて出そうだし」
「…………」
どこまで本気か分からない顔でそう言って軽やかに立ち上がり、スカートに付いた汚れを払った彼女は実に勇敢な顔でシラーを見降ろした。
「さ、私と光牙を元の世界に戻してちょうだい。嫌だなんて言ったら今度こそ溶岩の池に蹴り落とすわよ」
「…それは困る。僕は死にたくないからね」
唇の端を微かに持ち上げてシラーも立ち上がった。
白い砂浜に波が打ち寄せる。
ひとり巨蟹宮に残されていた龍峰は、光牙に肩を貸して歩いてくるユナの姿にほっと安堵の息を漏らして駆け寄った。
「ユナ!良かった、帰ってこれたんだね!」
「ええ、何とかね」
「それで、彼は?」
「…………」
ユナが海岸に目を向けた。その視線の先では、蟹座の黄金聖闘士が砂浜に腰を降ろして海を眺めている。
彼の意図が読めずにそっと近づくと、男は海に目を向けたまま言った。
「君達が漂わせていた死臭が消えたね。一時的なものかもしれないけど」
「!…………」
「この先には僕より強い黄金聖闘士が待ち構えている。君達がマルス様のところまで行くことなんて不可能なんだ、先に進めばいいさ」
「…………」
「僕はしばらく、鷲座の彼女が言った事について考えることにするよ」
ひらり、彼は芝居がかった仕草で片手を振った。
ユナが掴んだその手を。
闇色の竜巻を呑みこんだ輝く竜巻がその勢いを増し、荒れ狂う暴風となってシラーに襲いかかった。
「…来るなぁっ!!」
風に言葉が通じるはずもなく彼の身体は竜巻に巻きあげられ弾き飛ばされた。
眼下に見えるのは溶岩の池。
あれに落ちたら死ぬ。
死ぬ!
シラーはっきりと死の恐怖を感じた。
無意識の生存本能に動かされるまま、何も掴む物が無い空に向かって手を伸ばした時。
迷いない手が彼の手を掴んだ。
「!?」
驚いて顔を上げると、真っ直ぐな眼をした少女…今の今までシラーと戦っていた鷲座の聖闘士の顔が見えた。
今の自分の状況も一瞬忘れて彼は思わず呟いた。
「何故、君が…」
「しっかり掴まって!あの溶岩の池に落ちたら、いくら黄金聖闘士でも助からないわよ!!」
「…………!!」
黄金聖闘士のプライドも恥もかなぐり捨てて、シラーは彼女の細い腕と小さな手に縋りついた。
…先程の戦いで力を使い果たしていたのだろう、シラーを崖の上に引っ張り上げた少女は肩で息をしながらその場にぺたりと座りこんだ。
崖っぷちにへたり込んだシラーは目を伏せたままボソリと尋ねた。
「…どうして僕を助けた。僕は君を殺そうとした、君の敵だよ?」
「あなたも戦災孤児だったんでしょ?落ちそうなものをみたら拾いたくならない?」
「………。笑えないジョークだ」
「私のせいで死なれたら後味悪いもの。それにあなた、化けて出そうだし」
「…………」
どこまで本気か分からない顔でそう言って軽やかに立ち上がり、スカートに付いた汚れを払った彼女は実に勇敢な顔でシラーを見降ろした。
「さ、私と光牙を元の世界に戻してちょうだい。嫌だなんて言ったら今度こそ溶岩の池に蹴り落とすわよ」
「…それは困る。僕は死にたくないからね」
唇の端を微かに持ち上げてシラーも立ち上がった。
白い砂浜に波が打ち寄せる。
ひとり巨蟹宮に残されていた龍峰は、光牙に肩を貸して歩いてくるユナの姿にほっと安堵の息を漏らして駆け寄った。
「ユナ!良かった、帰ってこれたんだね!」
「ええ、何とかね」
「それで、彼は?」
「…………」
ユナが海岸に目を向けた。その視線の先では、蟹座の黄金聖闘士が砂浜に腰を降ろして海を眺めている。
彼の意図が読めずにそっと近づくと、男は海に目を向けたまま言った。
「君達が漂わせていた死臭が消えたね。一時的なものかもしれないけど」
「!…………」
「この先には僕より強い黄金聖闘士が待ち構えている。君達がマルス様のところまで行くことなんて不可能なんだ、先に進めばいいさ」
「…………」
「僕はしばらく、鷲座の彼女が言った事について考えることにするよ」
ひらり、彼は芝居がかった仕草で片手を振った。
ユナが掴んだその手を。
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